お気に入りのブランドで新しいセーターを買い、家に帰って袋から出す瞬間は心躍るものです。しかし、その新品の衣類が、実は衣類害虫を家に招き入れる原因になる可能性があるとしたらどうでしょうか。あまり考えたくないことですが、これは現実に起こりうる落とし穴なのです。衣類が製造されてから私たちの手元に届くまでには、工場での生産、倉庫での保管、輸送、そして店舗での陳列といった長い道のりを経ています。この過程のどこかで、虫が紛れ込んだり卵が産み付けられたりする可能性はゼロではありません。特に、海外から輸入された衣類の場合、長期間コンテナや倉庫で保管される間に、虫が侵入するリスクは高まります。衣類を包んでいるビニール袋も万全ではなく、小さな隙間から虫が入り込むこともあります。また、店舗での管理状況も影響します。バックヤードに長期間保管されていた商品や、多くの人が試着した商品には、目に見えない虫や卵が付着している可能性も否定できません。さらに注意が必要なのが、フリマアプリなどで購入する中古の衣類です。前の持ち主の家での保管状況は分かりません。たとえクリーニング済みであっても、その後の保管や梱包の過程で虫が侵入するリスクは常に存在します。こうした見えないリスクから衣類と自宅のクローゼットを守るためには、購入後のひと手間が重要です。新しい服、特にウールやカシミヤなどの動物性繊維のものは、すぐにクローゼットにしまわず、一度風通しの良い場所で陰干ししたり、軽くブラッシングしたりすることをお勧めします。中古の衣類であれば、着用前に一度洗濯やクリーニングに出すとより安心です。せっかくの新しい服が害虫の運び屋にならないよう、少しの注意を払うことが大切です。